国外FX運用益の税金をめぐる国別比較

Hongkong

日本の「居住者」の定義

日本居住者とは、「国内に『住所』を有し、又は、現在まで引き続き1年以上『居所』を有する個人」をいいます(所得税法第2条(1)三)。住所・居所ともに定義があるほか推定規定もありますので、実際の判定は少し複雑です。赴任期間が決まっている駐在員は、出国の翌日から日本非居住者です。微妙なケースでは税務署等に相談したほうが無難です。「非居住者」とは、居住者以外の個人をいいます。

日本居住者のFX運用益にかかる税金

日本居住者にとってFX運用益は、国内FX業者を利用した場合は雑所得として源泉分離課税、海外FX業者を利用した場合は、総合課税となります。税率は異なりますが、いずれも個人所得税の課税対象となります。日本居住者は、所得の源泉が国内・海外のいずれかを問わず、「全世界所得」が課税対象となります。

日本非居住者のFX運用益にかかる税金

一方、日本非居住者が海外のFX業者を使って獲得した運用益に関する課税は以下の通りです。

日本での課税

まず第一に、日本非居住者の日本での課税対象は、「日本国内源泉所得」だけ(たとえば海外駐在員が日本でマンション賃貸収入がある場合)です。日本非居住者が海外のFX業者を使った場合の運用益は、日本国内源泉所得ではないため、日本では非課税と考えられます。

海外(居住国)での課税

第二に、日本非居住者が海外の居住国で当該FX運用益に税金がかかるかは、それぞれの国の税制によります。たとえばシンガポール、マレーシアや香港では、居住者でもキャピタルゲインは非課税であるため、当該FX運用益は居住国でも課税されないことになります。なおタイの居住者は、国外所得のうちタイに持ち込んだ部分が課税対象となります。

「日本非居住者が海外の居住国で当該FX運用益に税金がかかるか」についてまとめたものが下表です。

国名 居住者の定義 居住者の個人所得税の課税対象
国外FX運用益の課税の有無
マレーシア 以下の複数の基準で判定;
– 当暦年内で、1度の滞在期間または複数の滞在期間の合計が、182日以上
– 当暦年内は182日未満の滞在、直近の12月末までに継続して182日以上滞在
– 当暦年内は182日未満の滞在、直後の1月初めから継続して182日以上滞在
業務出張、病気治療等は上記2要件の中断には該当しません。
– 当暦年内で合計90日以上滞在、かつ、直近4暦年のいずれか3暦年で「居住者」または「滞在期間の合計が90日以上」
– 当該暦年の直近3暦年で「居住者」、直後1暦年で「居住者」(当暦年の滞在日数に関係なく)
国内源泉所得に加えて、国外源泉所得であってもマレーシア国内で収受(送金受領)したものに課税することとしています(=修正領士主義)が、ただし2004年以降は、国外源泉
所得で国内にて収受したものについて免税措置が講じられているため,結果として国内源泉所得のみが課税対象となります(結果的に領土主義)。
よって国外源泉所得である国外FX業者によるFX運用益は課税対象外。運用収入がマレーシア国内の銀行口座に振り込まれる場合であっても,2004年度以降は免税扱い。
シンガポール 質的基準
賦課年度の直前年度(暦年)に「居住」している個人。「居住」という定義は規定されておらず、実質的に判断。
量的基準
会社役員以外の個人が,賦課年度の直前年度(暦年)に183日以上シンガポールに物理的に滞在しているか又はシンガポールに勤務している場合は,質的基準にかかわらず税務上居住者となります。
ただし、2暦年にまたがって183日以上連続してシンガポールに滞在し又は勤務していた場合、たとえ第1年度が183日未満であったとしても両方の年度で居住者として取り扱われます。
以前は、国内源泉所得と、シンガポール国外で生じた所得のうちシンガポール国内に送金した金額が課税対象でした(修正領土主義)。しかし2004年1月1日以後は国外源泉所得のうちシンガポール国内に送金した場合でも免税措置が講じられています。
よって国外源泉所得である国外FX業者によるFX運用益は課税対象外。運用収入がシンガポール国内の銀行口座に振り込まれる場合であっても,2004年度以降は免税扱い。
香港 香港に課税年度(毎年4月1日から翌年3月31日)内に180日以上滞在、又は2課税年度内に通算300日以上滞在している者は一時居住者(Temporary resident)となります。 国内源泉所得のみ、且つキャピタルゲインは非課税
国外源泉所得である国外FX業者によるFX運用益は課税対象外であり、運用収入を香港に送金した場合でも免税となります。
タイ 暦年において、タイ国に1回又はそれ以上滞在した日数が累計で180日以上の者は居住者とみなされます。 居住者は,タイ源泉所得と、国外源泉所得のうち,当該所得を得た年度と同一課税年度内にタイに送金又は持ち込んだ部分が課税対象となります。。
国外源泉所得である国外FX業者によるFX運用益は、運用収入を同一課税年度内にタイに送金した場合にのみ課税対象となります。
台湾 国内に住所を方する者、国内に常時居住する者をいいますが、暦年で183日以上滞在している者も居住者とされます。 国内源泉所得のみが課税対象ですが、ただし2010年より、100万TWD(約300万円)以上の国外源泉所得は課税(ミニマムタックス制度)対象となっています。
国外源泉所得である国外FX業者によるFX運用益は、ミニマムタックス制度の対象とならない場合は、非課税となります。
一方、以下の国のように、居住地の国内所得だけでなく、居住地国外の所得も合せて課税対象となる制度(全世界所得課税)を採用している国では、国外FX運用益も居住地国で課税対象となります。

【居住者に対して全世界所得課税を採用している国の例】
フィリピン
ベトナム
インドネシア
カンボジア
ラオス
オーストラリア
ニュージーランド
米国
カナダ
日本