BREXITの解説がとても詳しい松崎氏のメルマガ

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当サイトおすすめのメルマガの一つ「松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX」(毎週金曜日発行)が、BREXIT関連のイギリス国内の状況を詳しく解説していますので、抜粋して紹介したいと思います。

松崎氏は、1986年スイス銀行、1989年英バークレイズ銀で初の日本人FXオプション・セールス、1997年よりメリルリンチ・ロンドン支店でFXオプション・セールス、2003年より個人トレーダーとしてFXや株式指数取引を開始、2007年春からはブログを通じてロンドン/欧州関連情報を発信されています。ロンドン・欧州関連の情報は、とにかく無料ブログとは思えない詳しさで、とてもおすすめのメルマガです。

(参考)先月の質問編(2016年5月27日)
http://www.central-tanshifx.com/market/market-view/sf-20160527-01.html

【質問1】英国の次の国民投票の世論調査結果発表日はいつですか?

世論調査の結果発表のタイミングは事前に知らされることはなく、突然出ます。そのため、マーケットに与えるインパクトも計り知れません。最近のポンドの動きを見ていると、「世論調査/賭け屋さんのオッズ連動相場」と言っても過言ではありません。出来れば国民投票の世論調査結果も、経済指標のように発表日と時間を事前に知らせていただけると助かりますが、そういう話はどこからも聞こえてきません。

【質問2】最近は離脱派優勢のようですが、世論調査と賭け屋の状況はどんな感じですか。

この原稿を書いている6月16日現地時間16時(日本時間24時)現在、午前中と比較すると、離脱支持が3〜5%減ってきています。この大きな変化は、16日(木)午後に英国で起きた事件(残留支持を訴える労働党女性議員が銃で撃たれ、ナイフで刺されて重体でしたが、数時間後に死亡)と関係あるかもしれません。この事件により、国民投票に向けたキャンペーンは即刻中止。たぶん17日(金)からの再開となるはずです。

【質問3】ボリス・ジョンソン氏の様子はどうですか?

今年2月に開催されたEUサミットでは、英国が提出した残留条件の内容について、EUとの間で合意に至りました。その翌日の2月20日(土曜日)、キャメロン英首相が国民投票を6月23日に実施すると発表。そして、そのまた翌日の日曜日に、英国のカリスマ政治家として名高いボリス・ジョンソン前ロンドン市長がいち早く「離脱支持」を発表しました。ボリス氏の発言を受け、週明け月曜日のマーケットでは、ポンドが窓明け急落しました。国民投票のキャンペーン開始以来、ボリス氏は精力的にキャンペーンに参加しており、先週は民放:ITV局の「TV討論会 2時間スペシャル」に登場し話題を集めました。もし6月23日の投票で「離脱」が決まればキャメロン首相の引き摺り下ろしが始まるのは時間の問題。後任首相として候補に上がっているのは、同じ「離脱」支持のゴーブ司法相。たぶん2020年次期総選挙までの繋ぎ首相の役目をゴーブ氏が務め、次の総選挙でボリス首相が誕生する可能性は高いと見られています。EU関係者の間でボリス氏は人気がなく、ユンケル欧州委員会委員長などは、ボリス氏を名指しで非難しているため、離脱交渉を乗り切るためにはボリス氏以外の政治家が首相となり、EUとの交渉に当たるという選択をすると私は考えています。

【質問4】今回の投票では、間違いなくどこかのメディアや調査機関が出口調査をやると思います。つまり投票締め切り時間前に、どちらが優勢か情報が流れるでしょう。その情報を得るには、どうしたらよいのでしょうか?

5月31日の英FINANCIAL TIMES紙(以下、FT紙)に興味深い記事が載りました。
タイトルは「Hedge funds and banks commission Brexit exit polls:ヘッジファンドや銀行は独自の国民投票の出口調査を実施」

今回の国民投票では、投票締め切り直後に「出口調査」が発表されません。理由は、総選挙とは違い、国民投票の場合は分析するのに必要な「過去のパターン」がないからだそうです。このFT紙の記事によると、ヘッジファンドや大手銀行は独自の出口調査を自分達の収益につなげていくようです。特に私の眼を引いたのは、その独自の出口調査結果を投票所の締め切りまで待たず、一部だけに随時発表していくこと。年金などの運用をしている投資顧問会社に対し、50万ポンド(約7,500万円)で情報提供する会社/銀行もあるとも書かれています。もしFT紙に書いてあることが実際に起きると、投票所が閉まる現地時間22時より前に、ポンドが大きく動く可能性が出てきます。そして、そのポンドの動きを見て、投票結果を「予想」することも可能です。しかし、彼らが出口調査を発表するタイミングは全くわかりません。投票は朝7時からスタートしますので、早ければ昼過ぎにも最初の出口調査を発表するのではないか?という噂も出ています。いずれにしても、投票時間中にポンドがいきなり大きく一方向に動いた場合には、「出口調査によるフロー」と考えることも出来るでしょうが、問題はその調査結果が「正しい結果なのか?」がわからないことです。

【質問5】投票日が近づくにつれて、離脱の危険性につき認識が深まり、残留派にバランスが傾くと読んでいますが、これまでの種々の国民投票での実績から、その傾向の蓋然性は高いかについて、専門家に取材して頂ければ有り難いです。

投票日まで残すところ1週間を切りましたが、意外なことに今の英国では、離脱の危険性よりも、「残留することの危険性」にスポットライトが当てられています。私はこの国に28年住んでおりますが、今でも考え方の基本は日本人のまま変わっておらず、「最後は良識と常識が勝つ」と考えてしまう傾向があります。しかし、この考え方は必ずしもイギリス人には通用しません。ご質問の中に「これまでの種々の国民投票での実績」とございますが、英国で最後に欧州に関する国民投票が行われたのは1975年ですので、「種々」の意味は他国で実施されている国民投票も含めて...という事だと理解いたしております。今回の英国の国民投票と他国での(例えば頻繁に国民投票が実施されているスイスなど)ものとを比較するには、投票自体の重要度が相当違いますので、一概に蓋然性が高いとは言えないと個人的には感じております。

【質問6】国民投票の日は、投票所が閉まる夜の時間でも、為替市場はあいているのでしょうか?例えば松崎さんが使っているロンドンのFX会社は、何時から取引ができるのですか?

私が使っているロンドンのFX会社は、国民投票に向けて「マージン比率を高めます。」というメールを送ってきましたが、取引時間についてはまだ何も連絡が来ていません。今回のマージン引き上げにより、ポンド通貨取引のマージンが通常時の2〜8倍になっていました。これは、国民投票当日だけでなく、6月19日から適用され、いつまで続くかについても何も明記がありません。

為替の取引時間に関しては、2014年のスコットランド住民投票の時に、投票終了:22時の4時間後、つまり翌日の深夜2時(日本10時)からロンドン・シティの金融機関はトレーディングを始めました。ですので、今回の国民投票も大手行は6月24日深夜2時からスタートというところが一般的だと伝えられていたのです。しかし、先週、米大手JPモルガン銀行やモルガン・スタンレー、英RBS銀行、ロイズ銀行などが次々に、(深夜2時からではなく)24時間取引を可能にすると発表しています。たぶん、ヘッジファンドなどが投票時間中に独自の出口調査を出すため、投票所が閉まってから4時間待つのはナンセンスということなのかもしれません。そうは言っても、リクイディティーが日中と同じだけあるのかについては、疑問です。その場合は、プライスのスプレッドがかなり拡大することも覚悟しておいたほうが良いでしょう。

【質問7】欧州サッカー選手権(EURO2016)開催期間中での国民投票。気をつけるべき点があれば、教えていただきたいです。

投票が行われる6月23日、もしイングランドとウェールズのどちらかが、6月20日に開催されるグループ戦最終日に勝ち残れば、サポーターは引き続き現地に滞在することも考えられます。そのため、国民投票を棄権する人たちが増えてしまうことも十分にあり得るでしょう。なお、投票当日は歴史ある野外ロック・フェスティバルの開催期間にもあたります。

オプション市場では、今年に入ってから250億ポンドというとてつもない額が、ポンド/ドルのオプションに流れ込んでいるそうです。特に人気が高いのは、2009年の安値である1.3503かそれより下に行くと利益が出るオプションだとか...。このようなオプションはBrexitに対するヘッジだと考えられますが、それにしても250億ポンドという規模は中東のヨルダンやバーレーンのGDPとほぼ同じサイズですので、驚きです。オプション市場から予想される「国民投票翌日(6月24日)のポンド/ドル動向」は、離脱の場合は35%の可能性で1.35を下抜ける、残留の場合は、25%の可能性で1.50まで買われるという状況になっているそうです。

参考
松崎氏のブログはこちらです。